実家じまいノート

実家の片付けが進まない3つの理由と、きょうだいで決める手順

最終更新:2026年9月26日

実家の片付けは、物が多いから進まないのではありません。「誰が決めるのか」が決まっていないから止まります。帰省のたびに押し入れを開けて、何も決まらないまま閉じて帰る。そうして10年が過ぎることも珍しくありません。

ここでは、進まなくなる理由を整理したうえで、きょうだいで実際に動かすための手順をまとめます。

進まない3つの理由

1. 決める人が決まっていない

実家の物には、法律上の所有者はいても、「捨てていいかどうかを決める人」が決まっていません。近くに住むきょうだいが勝手に捨てれば角が立ち、遠くのきょうだいは口を出しにくい。結果、誰も手をつけません。

最初にやるべきなのは片付けではなく、「この件は誰が進行役をやるか」を決めることです。決定権ではなく、段取りをする役です。

2. 「捨てる」以外の選択肢が見えていない

目の前の物に対して「捨てる/捨てない」の二択で考えると、判断が重くなります。母の着物を「捨てる」と言うのは、誰でもためらいます。

実際には4つの行き先があります。

「捨てる」ではなく「もらう人がいるか探す」と考えると、判断がぐっと軽くなります。

3. 期限がないので後回しになる

片付けそのものに期限はありません。しかし相続の手続きには期限があります。相続放棄は3か月、相続税は10か月、相続登記は3年(2024年3月31日以前の相続は2027年3月31日)です。

この期限を先に把握すると、「いつまでに何を決めればいいか」が自然に決まります。片付けを動かすいちばん確実な方法は、期限を可視化することです。

→ 相続手続きの期限一覧(亡くなった日から自動計算)

順番を間違えないでください

相続放棄を考えているなら、片付けの前に決める

借金の有無がはっきりしないうちに遺品を処分したり、価値のある物を売って代金を受け取ったりすると、相続を認めた(単純承認した)とみなされ、相続放棄ができなくなることがあります。

「とりあえず片付けから」は、この一点だけは当てはまりません。3か月以内に判断できないときは、家庭裁判所に期間を延ばす申立てができます。

出典:裁判所「相続の放棄の申述」

きょうだいで進める6つの手順

手順1 期限を確認して、全員で共有する

亡くなった日から、どの手続きがいつまでかを一覧にします。ここが共通の土台になります。「なんとなく急いだほうがいい」ではなく「11月24日までに決める」と言えるようになると、話が進みます。

手順2 貴重品と書類を先に探す

片付けを始める前に、これらを探して一か所にまとめます。片付けの途中で捨ててしまうと、あとで大きな手間になります。

手順3 部屋を1つ決めて、そこだけ終わらせる

家全体を見ると気が遠くなります。台所や玄関のように、思い出の品が少ない部屋から始めてください。1部屋終わると「終わる」という感覚がつかめて、次が動きます。

手順4 撮って記録する

物を手に取ったら、その場で写真を撮って記録します。これには2つの意味があります。

手順5 4つに分ける

記録しながら、残す・もらう・売る・手放す のどれかを付けていきます。その場で決まらない物は「未定」のままで構いません。 未定を許すのが、止まらないコツです。

手順6 重なったものだけ話し合う

全部を話し合う必要はありません。2人以上が「ほしい」と言った物だけが、話し合いの対象です。実際には、家一軒でも数点しかありません。ここに時間を使ってください。

揉めないための3つのルール

作業を始める前に、この3つだけ決めておくと、あとの会話がずいぶん楽になります。

ルール1 「先に言った人が優先」ではなく「重なったら話す」

早い者勝ちにすると、近くに住む人が有利になり、しこりが残ります。

ルール2 売れた物のお金は、先に分け方を決めておく

「売れてから考える」は揉めます。人数で等分か、作業した人に多めか、実家の費用に充てるか。金額が出る前に決めておくと、あとで感情が入りません。

ルール3 思い出の品は、写真に撮ってから手放すことを認める

物として残せなくても、記録として残れば納得できることが多いものです。全員が「捨てる」と言いにくい物ほど、この逃げ道が効きます。

1日の作業の組み立て方

帰省して片付ける場合の、現実的な1日の配分です。

時間やること
午前(3時間)1部屋を撮って記録する。判断はしない
昼記録を見ながら、きょうだいで仕分けを相談
午後(3時間)「手放す」と決まった物を運び出す・まとめる
夕方次回の日程と、誰が何を持ち帰るかを決める

撮る作業と決める作業を分けるのがコツです。物を前にすると判断が鈍るので、いったん記録に変えてから考えると進みます。

よくある質問

きょうだいの1人が非協力的です

全員が同じ熱量で動くことは、まずありません。進行役が記録を共有し続けて、「見るだけ」でも参加できる状態を作るのが現実的です。あとから「聞いていない」と言われないことが大事なので、決めた内容は文字で残してください。

親がまだ健在ですが、始めたほうがいいですか

親が元気なうちのほうが、はるかに楽です。本人に「これはどうしたい?」と聞ける価値は大きく、あとで「何だったのか分からない物」が減ります。ただし「片付けよう」ではなく「使っていない物を教えて」から入るほうが、角が立ちません。

業者に頼むべきか、自分たちでやるべきか

仕分けは家族、運び出しは業者、という分担がよく機能します。仕分けを業者に任せると費用が上がり、大事な物が紛れて出ていくこともあります。逆に運び出しを自力でやると、家電4品目の処分や大型家具で行き詰まります。

→ 遺品整理の費用相場と、業者の選び方

片付けと手続きを、きょうだいで

「実家じまいノート」は、実家の物を撮って「残す・もらう・売る・手放す」を分け、部屋ごとの片付け率と手続きの期限をまとめて管理できるiPhoneアプリです。無料で始められます。

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出典

このページの内容は一般的な目安です。個別の事情によって変わりますので、実際の手続きは各窓口や、司法書士・税理士などの専門家にご確認ください。