相続した実家を売るまでの流れと税金
知らないと数百万円損します
最終更新:2026年9月26日
相続した実家を売るとき、売買契約書が見つかるかどうかで、税金が数百万円変わることがあります。 取得費がわからないと、売った金額の5%しか経費として引けないからです。
片付けの途中で古い書類を捨ててしまう前に、この記事を読んでください。流れ、期間、税金、費用をまとめます。
譲渡所得税の概算
長期譲渡(親の所有期間を引き継いで5年超)を前提にした概算です。実際の税額は必ず税理士か税務署にご確認ください。
売るまでの流れ
| 順 | やること | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 遺言書の確認・相続人の確定 | 1〜2か月 |
| 2 | 遺産分割協議(誰が相続するか決める) | 1〜3か月 |
| 3 | 相続登記(名義を変える) | 2週間〜1か月 |
| 4 | 家財の片付け | 1〜3か月 |
| 5 | 不動産会社に査定を依頼 | 1〜2週間 |
| 6 | 媒介契約・販売活動 | 1〜6か月 |
| 7 | 売買契約・引渡し | 1〜2か月 |
| 8 | 翌年の確定申告 | 2月16日〜3月15日 |
全体で半年から1年半を見ておいてください。急いでいるつもりでも、相続人の1人と連絡がつかない、遺産分割がまとまらない、といったところで止まります。
名義を変えないと売れません
相続登記を済ませないと、買主に所有権を移せないので売却できません。「売れてから登記すればいい」ということにはならないので、3番を飛ばさないでください。
いちばん大事な話:売買契約書を探してください
取得費がわからないと、売った金額の95%に課税されます
譲渡所得は、こう計算します。
売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除
取得費は、親がその家を買ったときの金額です。これを証明できないと、売却価格の5%しか引けません(概算取得費)。
2,000万円で売った場合、取得費は100万円とみなされます。実際には親が1,500万円で買っていたとしても、証明できなければ1,400万円の差が課税対象に乗ります。税率20.315%なら、約284万円の差です。
片付けの最初に、この3つを探してください。
- 売買契約書(購入時のもの)
- 領収書・振込の控え
- 登記時の書類一式(権利証、登記簿謄本)
仲介手数料や登記費用の領収書も取得費に含められます。古い書類ほど、捨てる前に確認してください。
税率は所有期間で倍近く変わります
| 区分 | 所有期間 | 税率 |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315%(所得税15% + 復興特別所得税 + 住民税5%) |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63%(所得税30% + 復興特別所得税 + 住民税9%) |
相続した不動産では、親が持っていた期間をそのまま引き継ぎます。 相続してから1年で売っても、親が30年持っていたなら長期譲渡です。ここを短期だと思い込んで売却をためらう方がいますが、誤解です。
取得した「日」も引き継ぐので、取得費と同じく、親がいつ買ったかが重要になります。
売るときにかかる費用
| 費目 | 目安 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税(400万円超の場合の上限) |
| 印紙税 | 1万〜3万円(売買価格による) |
| 相続登記の費用 | 登録免許税(評価額×0.4%)+ 司法書士報酬5万〜10万円 |
| 測量・境界確定 | 必要な場合35万〜80万円 |
| 解体 | する場合、木造30坪で90万〜150万円 |
| 家財の片付け | 3万〜60万円 |
2,000万円で売る場合、仲介手数料だけで約72万円です。
使える特例は2つ。ただし併用できません
空き家の3,000万円特別控除
条件が合えば、譲渡所得から最高3,000万円(相続人3人以上なら2,000万円)を引けます。2027年12月31日までの売却が対象です。
相続財産を譲渡した場合の取得費加算
相続税を納めた人が、相続税の申告期限の翌日から3年以内に売った場合、払った相続税の一部を取得費に加算できます。
この2つは、どちらか一方しか使えません。 相続税を納めた方は、どちらが有利か計算してから選んでください。多くの場合は3,000万円控除のほうが大きくなりますが、相続税額が大きい場合は逆転します。
きょうだいで売るときの注意
共有名義のままにしない
3人で共有名義にすると、売るときに全員の同意と署名が必要になります。1人が反対すれば売れません。さらにその1人が亡くなると、その子どもたちが権利者に加わり、話がまとまらなくなります。
換価分割という方法
代表者1人の名義にして売り、売却代金を分ける方法です。手続きが単純になります。ただし遺産分割協議書に「換価分割である」と明記しておかないと、代表者から他の相続人への贈与とみなされる可能性があります。必ず書面に残してください。
税金は相続した人がそれぞれ申告します
共有で売った場合、譲渡所得は持分に応じて各自が申告します。1人がまとめて払うものではありません。
よくある質問
査定はどこに頼めばいいですか
複数社に依頼して比較してください。1社だけだと、その金額が妥当か判断できません。実家が遠方の場合は、地元の不動産会社と大手の両方に当たると、相場感がつかめます。
売れない場合はどうなりますか
価格の見直し、古家付き土地としての売り出し、買取業者への売却という選択肢があります。買取は相場の6〜7割になりますが、確実に現金化できます。空き家のまま持ち続けると、固定資産税と管理の負担が続きます。
確定申告は必要ですか
譲渡所得が出た場合は必要です。特例を使って税額が0円になる場合も、申告しないと特例が適用されません。 売った翌年の2月16日〜3月15日に申告してください。
相続してすぐ売ると税金が高くなりますか
なりません。親の所有期間を引き継ぐので、親が5年超持っていれば長期譲渡(20.315%)です。むしろ空き家特例には期限があるので、早いほうが有利な場合があります。
片付けと手続きを、きょうだいで
「実家じまいノート」は、実家の物を撮って「残す・もらう・売る・手放す」を分け、部屋ごとの片付け率と手続きの期限をまとめて管理できるiPhoneアプリです。無料で始められます。
App Storeで見る出典
- 国税庁|No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
- 国税庁|No.3211 短期譲渡所得の税額の計算
- 国税庁|No.3258 取得費が分からないとき
- 国税庁|No.3270 相続や贈与により取得した土地・建物の取得費と取得の時期
- 国税庁|No.3306 空き家を売ったときの特例
このページは一般的な説明であり、税務上の判断を保証するものではありません。 金額が大きい取引なので、売買契約を結ぶ前に税理士にご相談ください。